遺言ノート

今さら聞けない『遺言作成の基礎』② ~「特定して書く」か「割合で書く」か、どっちがいい?~
遺言ノート
遺言を書くとき、意外と悩ましいのが「財産の書き方」です。たとえば、こんな書き方を見たことがあるかもしれません。
- 「自宅の不動産は長男に、預貯金は長女に相続させる」
- 「財産の3分の1をそれぞれ長男・長女・次男に相続させる」
どちらも一般的な表現ですが、それぞれにメリットと注意点があります。今回は、「財産を特定して書く方法」と「割合で指定する方法」の違いについて、整理してみます。
財産を特定して書く方法
「不動産はAに、預貯金はBに」といった書き方は、内容が明確でわかりやすいという大きなメリットがあります。誰がどの財産を受け取るのか一目瞭然で、誤解も生じにくいため、受け取る側にも安心感があります。
ただし、注意が必要なのは、指定した財産が実際には存在しなくなっている場合です。たとえば、遺言者の死後に預金が使われて減っていたり、不動産が売却されていた場合、受け取るはずだった人が何も相続できないという事態も起こり得ます。
また、現金は価値の増減があまりありませんが、不動産や株式などは評価額が変動するリスクもあり、財産の配分に偏りがあると、「不公平だ」と感じる相続人が出て、争いの原因になることもあります。
割合で書く方法
一方、「全財産の○分の1ずつを相続させる」といった割合指定は、財産の増減に強く、柔軟に対応できるのがメリットです。亡くなる時点での財産の状況に応じて、自動的に分配されるため、内容が形骸化しにくいという利点があります。
ただしこちらも、注意すべき点があります。たとえば、不動産などの分けにくい財産が含まれると、実際にどのように分けるかを相続人同士で話し合う「遺産分割協議」が必要になります。協議がまとまらないと、手続きが滞ってしまうことも。
また、このような財産を特定せず割合で指定することを「包括遺贈」と言いますが、包括遺贈を受けた人は「相続人と同一の権利義務を有する」(民法990条)とされていますのでもし債務(借金)があれば、それも含めて引き継ぐことになります。相続人でない人に対しても包括遺贈は可能ですが、その場合でも負債を含めて引き受けることになるため、注意が必要です。
大切なのは「自分に合った方法」を選ぶこと
遺言の書き方に、絶対的な正解はありません。大切なのは、ご自身の財産の内容やご家族の関係性に合った方法を選ぶことです。
たとえば、相続人同士の関係が良好で、話し合いがスムーズにできるような場合は、割合指定でも十分に機能するでしょう。反対に、将来的なトラブルをできるだけ避けたいという場合には、特定の財産を明確に分けておくほうが有効です。
専門家と一緒に、納得のいく遺言を
遺言は「とりあえず書いておけばいい」というものではありません。大切なのは、「残された人が安心して相続できるかどうか」です。
どのような書き方が自分に合っているか判断が難しい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。人生の最期に、ご家族への想いをきちんと届けるために、遺言の準備はとても大切です。
【次回予告】
今さら聞けない『遺言作成の基礎』③~遺言書で遺産をもらうことを拒否することができる?~
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