遺言ノート

今さら聞けない『遺言作成の基礎』① ~「相続させる」と「遺贈する」の違いは?~
遺言ノート
遺言は、大切な財産や想いを託す最後のメッセージです。けれど、その書き方をきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。このシリーズでは、「今さら聞けない」遺言作成の基本をわかりやすく解説していきます。第1回のテーマは、「相続させる」と「遺贈する」の違いです。
「相続させる」と「遺贈する」の違いとは?
遺言には、財産の引き継ぎ方を示す文言がいくつかありますが、よく使われるのが「相続させる」と「遺贈する」です。実はこの2つ、似ているようで法的な意味が異なります。
- 「相続させる」:推定相続人(法律上の相続資格がある人)に対して使う表現です。
※推定相続人の定義については、遺言を考えるにあたって① で解説をしています。 - 「遺贈する」:推定相続人以外の人に財産を渡すときに使います。
ただし、「遺贈」は推定相続人に対しても行うことができます。そのため、推定相続人にあえて「遺贈する」と書くことも可能ですが、特別な理由がなければ「相続させる」とするのが一般的です。
一方で、推定相続人でない人に対して「相続させる」と書いた場合、それだけで遺言が無効になることは少ないとされています。しかし、不動産の名義変更などの手続きで支障が出る可能性もあるため、文言の選び方には注意が必要です。
解釈が分かれる表現「まかせる」
遺言では、「○○にすべてまかせる」といったあいまいな表現も時折見られます。けれど、この「まかせる」が財産を渡す意思表示として有効かどうかは、実際には解釈が分かれるところです。
たとえば、ある判例(東京高等裁判所昭和61年6月18日判決)では、
「○○家の財産は全部Aにまかせる」
と書かれた遺言について、「まかせる」には「与える」という意味は含まれないと判断されました。被相続人と受取人との関係性や遺言作成の背景からみても、明確に「遺贈」としての意思が認められないとされたのです。
一方で、別の判例(大阪高等裁判所 平成25年9月5日判決)では、
「私が亡くなったら財産については私の世話をしてくれた長女にすべてまかせます」
という文言が、包括遺贈として有効とされました。ここでは、長女が被相続人の生活を全面的に支えていたという事情が重視されました。
このように、同じ「まかせる」という言葉でも、その解釈はケースバイケースで大きく異なります。
正しい遺言のためには、専門家のサポートを
遺言は、自分の思いを正確に伝えるための大切な手段です。しかし、使う言葉ひとつで法的な意味合いが変わり、場合によっては相続が争いの種になってしまうこともあります。
こうしたリスクを避け、確実に意図を反映させるためにも、遺言の作成には法律の専門家のサポートを受けることをおすすめします。
「自分はまだ早い」「家族仲はいいから大丈夫」と思っていても、備えあれば憂いなし。後悔のない遺言を残すために、今こそ基本を押さえておきましょう。
次のテーマは、『財産は「特定して書く」か「割合で書く」か、どっちがいい?』です。ぜひご覧ください。
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