あわせて準備しておきたい手続き
尊厳死宣言公正証書
遺言を作成すると同時に、あらためて自分の終末期について考える方もいらっしゃいます。尊厳死とは、回復の見込みのない終末期に苦痛を緩和するケアだけを行い、延命措置は行わずに自然な状態で死を迎えることをいいます。
従来の医学では、患者が生きている限り治療を続けるという考え方が基本でした。
しかし、最近は延命治療の進歩によって、患者が植物状態のまま長く生き続けることがあるようになりました。そのような状況から、単に生かすことだけを目指す治療が本当に患者のためになるのか、むしろ苦しめてしまって尊厳を損なっているのではないかという問題が生まれました。そのため、患者本人の意思を大事にする考え方が重んじられるようになり、「尊厳死」という概念が生まれました。
しかし、患者が自身の終末期について過剰な延命措置は望まないと言っても、万一の際、本人が意識を喪失していたり、人工呼吸器につながれており言葉を発することができない状態であれば、自分で医療を選択する意思表示が難しく、尊厳死を選択できるか定かではありません。
「確実に尊厳死を選択したい」「自分の終末期の医療選択の意思を明確に示しておきたい」と考える場合、ご家族の同意とともに尊厳死宣言公正証書を作成しておけば、間違いなく本人の意思で作成されたことが示されるため、医師が延命措置を止める決断を下しやすくなると考えられます。
なお、現時点で明確な法律上の規定があるわけではありませんが、現在の医療現場では、尊厳死宣言公正証書で意思表示があった場合、尊厳死を容認する確率は9割を超えているといわれています。
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