相続に関すること
相続分の指定や遺産分割方法の指定
相続の内容をあらかじめ指定しておくことができます。
相続人の相続分は、民法で定められていますが、このいわゆる法定相続分を、たとえば、配偶者に遺産の3分の2を与え、残り3分の1を子供たちで分けるといったようにあらかじめ変更しておくことができます。
また、どこそこの土地は長男にあげる、といったように特定の財産について個別に指定しておくこともできます。
相続人の廃除またはその取消し
相続人の廃除または廃除の取消しの意思表示をすることができます。相続人の廃除とは、相続人になる予定の人が被相続人(=遺言者)を虐待したり、重大な侮辱をしたときに、その相続人の資格を剥奪させる制度のことです。
これは生前でも、また遺言によってもできますが、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
遺産分割の禁止
5年以内の期間で遺産の分割を禁止することができます。
自分の死後ただちに相続人間で、遺産分割についてゴタゴタが起きるなど考えるだけでも不安なことです。
こんな事態が予想されるとき、冷却期間をおく意味で一定期間、遺産の分割を禁止しておくことも解決方法の一つといえるでしょう。
遺贈減殺方法の指定
遺留分を侵害する遺贈が複数有る場合に、遺贈の減殺の順序や割合を指定できます。
財産処分に関すること
遺贈
相続人または相続人以外の人にも財産を譲ることができます。相続人が遺産を引き継ぐことを「相続」と言うのに対し、相続人以外の人に財産を譲ることを「遺贈」といいます。遺贈には、“現金100万円”などと具体的に指定する「特定遺贈」と、“遺産総額の一割”などと指定する「包括遺贈」の方法があります。
寄付
これも広い意味では遺贈の一種ですが、国や地方公共団体のほか、学術・慈善など公益目的の事業を行う特定の公益法人に遺贈することや、自ら公益法人を設立することもできます。
身分に関すること
子どもの認知
婚姻していない女性との間の子を遺言で認知することができます。
未成年後見人、未成年後見監督人の指定
遺言者の死亡により親権者がいなくなる未成年の子がいる場合、あらかじめ遺言者が死亡した後の未成年の子の法定代理人(後見人やその監督人)を指定しておくことができます。
遺言執行に関すること
遺言執行者の指定、及び指定の委託
遺言の内容を実現・実行することを遺言の執行といいます。
例えば、特定の財産を相続人以外の人に遺贈するという遺言があった場合に、この特定の財産を遺言で遺贈を受ける人に現実に引き渡すことを遺言執行といい、遺言執行をする人を遺言執行者と言います。
相続手続きを円滑に、確実に行うために、遺言書で信頼のできる方や、専門家をあらかじめこの遺言執行者に指定しておくことができます。
その他
祭祀承継者の指定
先祖の墓や仏壇などを承継・維持していく人をあらかじめ指定しておくことができます。
遺言の取消
遺言は何回でも書き直すことができます。また複数遺言が存在する場合には一番最後に書いた遺言が有効になり、過去のものは内容が抵触する限り無効になります。