遺言事例集

法定相続人がいない方

事例設定

  • 甲野太郎さんは独身で妻子はおらず、父母及び祖父母は既に他界していて、兄弟姉妹は元々いません。
  • 太郎さんは、終の棲家として建てた自宅を所有するほか、これまで無駄遣いすることなく蓄えた預金があり、勧められて購入した株式を数銘柄保有しています。
  • 太郎さんは、自身が死亡した後に残る財産があれば、甲野家の本家を継いでいる4歳下の従弟に託したいと考えています。

遺言がない場合の懸念点

  • 亡くなった人に相続人がいない場合には、「相続人不存在」として家庭裁判所の手続きが必要になるのが原則です。その手続きの過程で裁判所が「特別縁故者」(故人と特別に親しい等の関係がある人等)と認める人がいればその人が遺産を承継できますが、遺産の一部のみを承継させるとの判断の場合やそもそも特別縁故者がいない場合には、太郎さんの残余の遺産は国庫に帰属することになります。(国のものになってしまいます。)
  • 太郎さんが遺産を託したいと考える従弟は相続人ではなく、相続人不存在の状況であることから、裁判所が従弟を特別縁故者として認めれば太郎さんの遺産を承継できますが、必ずしも裁判所が認めるとも限らないため、太郎さんの希望が実現されるかは不確実な状況になってしまいます。

本事例の解決策

  • 相続人がいない場合であっても、遺言により遺産の全部を『包括遺贈する』としている場合には、「包括受遺者」(本例の従弟)は相続人と同一の権利義務を有するとされていることから相続人不存在とは扱われず、遺言内容に基づいて遺産を承継することができます。(この点、遺贈するのが遺産の一部の場合や、遺贈方法が「特定遺贈」の場合には、相続人不存在の状況であることに変わりなく、家庭裁判所の手続きが必要になると考えられています。)
  • なお、包括遺贈とは遺産の全部を引き継ぐことなので、包括受遺者である従弟は、太郎さんが残したプラス財産だけでなく、太郎さんが負っていた債務も承継する点は知っておきましょう。
  • また、遺言者と受遺者の年齢が近い場合などは、受遺者の方が先に亡くなってしまう恐れも高いため、予備的に財産を承継させる人を指定しておくことを推奨します。

文例

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