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遺言を考えるにあたって③

これまで「推定相続人の把握」と「財産の把握」について説明してきました。遺言を考えるにあたって重要となる最後のポイントは「家族関係の把握」です。

遺言では、「誰に」「どの財産を」「どのぐらい」相続させるかを決めて、書面に残していくことになります。「誰に」の部分は、推定相続人の範囲から決めていくことが一般的です。もちろん推定相続人以外の方(孫や公益団体など)に「遺贈」することも可能です。「どの財産を」の部分は、ご自身が保有する現金、預貯金、不動産、株式、車などから決めていくことになります。そして、「どのぐらい」の部分が今回のテーマとなります。

家族関係を把握しよう

たとえば、長男は大学まで学費を払って卒業させましたが、二男は高校卒業後、すぐに働きに出て自立した生活を送っている家庭だったとします。普段は仲の良い兄弟ですが、親の相続をきっかけに、これまでの想いが爆発してしまうことがあります。

長男は、自分は長男なのだから、実家をはじめ実家を維持するための金銭など、主要な財産を相続したいと考えているとします。片や二男は、兄貴は大学まで学費を払ってもらって実家でぬくぬく生活していたのに、自分は高校までですぐ働きに出ている。兄貴の方が親からの援助が大きいのだから、相続のときは自分が多くもらいたいと考えているとします。このような事例の場合、遺産分割の話合い(=遺産分割協議)はうまくまとまるでしょうか。
子の一方が住宅購入資金や生活資金など、親から資金援助を受けていた場合にも同様の問題が生じます。

別の事例として、長男夫婦は両親と同居し、両親の介護をしていたとします。弟や妹は離れて暮らしているので、たまに会いに来るぐらい。ほとんど手伝ってくれません。両親が生前にいかに長男夫婦に感謝していたとしても、実際の相続の現場では、介護の負担が相続分に反映されるケースは多くありません。長男としては、自分は妻と一緒に献身的に介護をしていたんだから少し多めにもらってもいいはずだと主張しますが、弟と妹は、同居する両親なのだから兄貴が世話をして当然でしょと主張します。このような事例の場合、遺産分割のための話合いはまとまるでしょうか。

このように、各家庭によって家族の人数や構成員も千差万別で、家族同士の関係もまったく異なります。家族の関係をしっかり把握すること、推定相続人の方たちがどう感じ、どう考えているかを察してあげることが大切です。

相続分に反映させよう

遺言がない場合、各相続分は民法で定められた法定相続分を基本とし、相続人全員の話合いにより定めることになります。民法では「平等」の考えに基づいて法定相続分を定めておりますが、はたしてこれで「公平」な結果をもたらすでしょうか。多かれ少なかれ生前に損得が生じているのが通常で、各相続人がまったく「平等」である状況はほとんど存在しないのではないでしょうか。

この状況を把握して、「公平」な結果をもたらしてあげられるのは、財産を残す立場の方しかありえません。子が複数人いる方であれば、生前に資金援助をした子には残す財産を少なめに調整し、自分の介護など献身的に世話をしてくれた子には多めに調整してあげてもよいのではないでしょうか。そして、この調整ができるのが遺言です。ぜひ家族関係をしっかり把握し、残された家族が「公平」になるよう考えてあげてください。

借入れについて

ただし、注意しておきたいのが、たとえば子の1人が好きだからといって、その子に財産全部を相続させる旨の遺言を作成したとすると、実際の相続の際に必要以上に相続人間の紛争を生じさせてしまうおそれがあることです。遺留分の請求など、遺言を作成したばっかりに家族関係がバラバラになってしまうおそれもあります。よっぽどの事情がない限り、推定相続人の1人に財産が集中するような遺言は避け、法定相続分を調整するぐらいの気持ちで遺言内容の検討をするとよいでしょう。

このような調整をした遺言においては、最後に「付言(ふげん)」として、そのような調整をした気持ちや経緯を遺言者本人の言葉で記しておくとよいです。

付言の例)
「私の身の回りの世話はすべて長男イチロウがみてくれています。
お世話になったお礼として、私の預貯金の半分をイチロウに遺します。
ジロウやハナコには言い分もあるかと思いますが、二人が世話しなければならない分を
イチロウが代わってしてくれたのだと思って納得してください。
遺留分など請求せず、わずかな財産をめぐって身内で争うようなことのないよう願っています。」

メッセージを残すことで、相続人が個々に持つ疑問(なぜ自分の相続分が少ないの?など)や怒り(なぜあいつの方が多くもらってるんだ!など)が和らぎ、しょうがないけれど故人の最期のメッセージに従おうかとの心理的効果が期待できます。

さて、これまで3回にわたり遺言を考えるにあたって重要となるポイントを説明してまいりました。この3つのポイントを押さえつつ、専門家と相談してご自身の状況に合った遺言を作成し、ぜひご自身の財産を後世につないであげてください。

(執筆担当:司法書士 脇 博喜



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