遺言について詳しく知りたい
遺⾔書の種類と特徴
遺言について詳しく知りたい
遺言書は法律で決められた要件を満たさなければならず、以下のような種類と特徴があります。
普通方式 | 自筆証書遺言 | 遺言者本人が作成。 |
公正証書遺言 | 公証人が作成。 二人以上の証人が必要。 | |
秘密証書遺言 | 遺言者本人が本文を作成。証人二人必要。 証人と公証役場で遺言書の封印を行う。 | |
特別方式 | 一般危急時遺言 | 病気等で死期の迫ったときに行う遺言。 三人以上の証人の前で口授する。 |
難船危急時遺言 | 遭難した船舶に乗船中、死期が迫ったとき行う遺言。 二人以上の証人の前で口授する。 | |
一般隔絶地遺言 | 伝染病等が原因で交通手段が遮断された場所にいる人が行う遺言。 警察官一人、証人一人以上の立会が必要。 | |
船舶隔絶地遺言 | 船舶中の旅客や乗務員が行う遺言。 船長又は乗務員一人以上、証人二人以上が必要。 |
特別方式や秘密証書遺言はテレビ等(ドラマ・小説)で目にすることはありますが、特別なもので、稀なケースです。
ここでは、ごく一般的な自筆証書遺言と公正証書遺言を中心に解説していきます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、民法で規定されている普通方式の遺言の一つです。遺言者本人が全文手書きで作成する遺言書で、必ず、自筆で書き、日付、署名、押印が必要となります。逆にワープロ・代筆・録音等によるものや、日付や訂正方法など書式に不備があるものは無効となってしまい、認められません。なお、遺言者が死亡した際には、家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
メリット
- 費用がかからない
- いつでも手軽に好きな時に作成できる。(第三者の関与が不要のため)
- 遺言内容の秘密が保持できる(第三者の関与が不要のため)
デメリット
- 様式が厳しいため、不備などにより、遺言そのものが無効になる恐れがある。
- ※作成年月日の入っていない、日付があいまいな遺言書はすべて無効になる。
- ○年〇月吉日のように、日が特定できなければ無効となってしまう。
- ※同一の証書で二人以上のものが遺言することはできない。共同で遺言書を作った者同士の意見が一致していたとしても、法的には無効な遺言となる。
- 偽造、紛失、改ざん、破棄の恐れがある。
- 遺言者が亡くなった後、家庭裁判所で検認手続きが必要になる。
- 遺言書の保管場所によっては、相続人が遺言の存在に気付かないこともある。
公正証書遺言
公正証書遺言も、民法で規定されている普通方式の遺言の一つです。遺言者に代わって公証人が作成する遺言書で、遺言者が二人以上の証人立会いのもとで口述、又は事前に打合せした遺言内容を公証人が筆記し、内容を読み上げ、本人・証人が署名押印して完成します。自筆証書遺言との大きな違いは原本が公証役場に保管されることです。公証人が作成するため形式不備で遺言書が無効になる恐れが低く、家庭裁判所の検認を受けることなく手続きできるのでスピーディに遺言の内容を実現できます。
メリット
- 公証役場で厳重に保管するため、偽造・紛失・改ざんの恐れがない。
- 公証人が作成するため、不備により無効となることはない。
- 遺言者が亡くなった後、家庭裁判所への検認が不要のため、相続手続きがスムーズに進む。
- 字が書けなくても作成可能
デメリット
- 費用がかかる(公証人への手数料等)
- 証人が二名必要になる。(証人を用意してもらう場合費用がかかる)
- 遺言の内容が第三者へ漏れる恐れがある。
- 公証役場へ行く必要がある。(公証人の出張可。但し別途費用がかかる)
自筆証書遺言と公正証書遺言比較表
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
---|---|---|
作成者 | 遺言者本人 安全性…× (形式不備により無効の恐れあり) 気軽さ…○ (書きたい時にすぐ書ける) | 公証人 安全性…◎ (形式不備の恐れはほとんどなし) 気軽さ…△ (事前準備か必要) |
証人 | 不要 | 二名以上 |
署名捺印 | 遺言者本人 | 遺言者・本人・公証人 |
印鑑 | 実印・認印・拇印いづれも可 | 遺言者本人は実印 ※作成時に印鑑証明書持参 ※証人は認印可 |
費用 | 不要 ※専門家に依頼する場合は費用がかかる。 | 公証人手数料 5~10万円程度(事案による) ※別途、必要書類代や専門家に依頼する場合は費用がかかる。 |
保管 | 遺言者本人 安全性…△ (偽造・紛失・改ざんの恐れあり) | 原本は公証役場で保管。 正本は遺言者本人が保管。 安全性…◎ (公証役場が厳重に保管) |
検認手続き | 必要 ※相続人全員の関与が必要 | 不要 ※当事者だけですぐに手続きできる。 |
効力 | どちらも差はない | どちらも差はない |
自筆証書遺言の作り方
準備するもの
筆記用具
※偽造、改ざんを防止するため、ボールペンや万年筆が望ましいです。
用紙
※民法上制限はありませんので自由ですが、破損しにくいものを選ぶのが安全です。
封筒
※封筒にも作成日付と遺言書の名前を書いておくと良いです。
印鑑
※認印、実印どちらでも構いません。但し、朱肉につけて押印するものに限ります。
作成手順
- 遺言書の全文を自分で記入します。
※財産を把握し、誰にどの財産を相続させるのか決めます。
※遺言書が複数枚になる場合、用紙と用紙の間に割印を押して用紙がつながりのあるものであることを証明する必要があります。
※遺言書本文だけでなく財産目録も自筆で書きます。 - 日付を記入します。
※日付は和暦でも西暦でも構いません。但し、日にちまで必ず書かなければいけません。 - 署名します。
※署名は戸籍どおり記載します。
※特に住所を書く必要はありませんが、どこの誰が書いたか第三者からも分かるよう住所も書きましょう。 - 押印します。
※認印でも構いません。
※押印は本人がしなければなりません。他人が押印すると無効となります。 - 封筒に入れて、自分で保管します。
※民法では遺言書を封筒に入れておくことを必要としていませんが、封筒に入れて封印しておけば安全に保管できます。
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自筆証書遺言
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